日々是英文解釈 No.7
大学入試問題やTOEIC等で出てくる英文をほぼ毎日1文ずつ解説していきます。
英語の学習において、「文法はある程度理解しているけど英文が読めない」ということはよくあります。
英文を読むためには、英文を読むための英文法の使い方を学ぶ必要があります。
また小学校や中学校では、英文を後ろから返って読むように教わったりします。
しかし、それでは時間がかかってしまいます。
基本的に、英文は前から一度読んで内容を理解できることが大事です。
前から読んで理解できるように、よくでてくる英文を毎日一文ずつ解説していきます。
是非毎日覗いてみてください。
- 次の英文を訳しなさい。
Before then, hearing someone talk was exclusively a live experience: you had to be listening as the sounds emerged from the speaker’s mouth. We can read the text of great speeches that predate the phonograph, like Abraham Lincoln’s Gettysburg Address.
この問題は、2019年の大阪大学の入試問題の一部です。
主格の関係代名詞
今回の問題を解くポイントは、主格の関係代名詞です。
主格の関係代名詞には、who, which, thatの3つあります。
それぞれの基本的な使い分けは以下になります。
先行詞 | 関係代名詞 |
---|---|
人 | who |
物 | which |
それ以外 | that |
先行詞が人の時はwho、物の時はwhich、それ以外ではthatを使います。
(先行詞については後ほど説明します。)
次の例文を見てください。
<例文1>
(1) I have a friend.
(私には友達がいます。)
(2) He is a doctor.
(彼は医者です。)
<例文1>は、(1)で「私には友達がいます」、(2)で「彼(その友達)は医者です」と2つの文で表しています。
この(1)(2)を1つにして「私には医者である友達がいます」と表したいときに用いるのが関係代名詞です。
その関係代名詞を使った文が次の<例文2>になります。
<例文2>
I have a friend who is a doctor..
(私には医者である友達がいます。)
関係代名詞に関してはまた詳しく書きたいと思います。
今回は問題にでてくる関係代名詞の作り方の1つについて書いてみたいと思います。
① つなぎたい語句が「人」であるか「物」であるかを判断します。
今回はa friendですので人です。
② つなぎたい方の語句が主格、所有格、目的格のどれかを判断します。
今回Heは主語として使われているので、「主格」を用います。
①②から、用いる関係代名詞は「主格のwho」ということになります。
③ 関係代名詞をつなぎたい語句の後ろにおいて2つの文をつなぐ
こうしてできた文が<例文2>になります。
ここで完成した<例文2>を見てほしいのですが、whoの後ろに主語がなく動詞がきています。
主格の関係代名詞は後ろに主語のない文が来ますので見つける際のポイントになります。
そして、今回のa friendのように関係代名詞節でつなぐ名詞のことを先行詞といいます。
- 主格の関係代名詞は後ろに主語のない文になっている。
今回の問題の訳し方と解答
今回の問題のBefore~mouthまでについては、前々回(日々是英文解釈 No.5)と前回(日々是英文解釈 No.6)で書きました。
今回は、We以降について書いてきたいと思います。
英文を読む上では以下の二つがまず大切です。
- 最初に出てきた名詞を主語として考える
- 前置詞のついた名詞は主語になれない
まずは主語を探すことを意識して読み進めます。
今回の文では、Weという主格の代名詞が来ているのでこれを主語だと判断します。
続いて、助動詞であるcanと動詞の原形であるreadがきます。
主語の後ろにcan readが来ているので、これらを1つのかたまりとして動詞とします。
さらに読み進めると、readの動詞の後ろにthe textという名詞がきます。
readは他動詞であり、We are the text「私たちは文書です」という文は意味がわからないので、the textは目的語と判断します。
文型の見分け方ついては、英文法の中で一番大事なのは文型!!文型からやり直そう!に書いていますので是非読んでみてください。
ここまでを訳してみると、「私たちは文書を読むことができる。」となります。
このままでは、何の文書かがわかりません。
それを説明しているのが、of great speechesです。
「前置詞 + 名詞」は形容詞または副詞として働きます。
形容詞であれば前のthe textを、副詞であればreadを修飾することになります。
今回は、どんな文脈かを説明していると考えthe textを修飾する形容詞と判断します。
ここまでをまとめると、「私たちは偉大な演説の文書を読むことができる」という意味になります。
そして次に出てくるのがthat predateです。
predateは、「前に来る」という意味の動詞です。
今回はthatの後ろに主語のない動詞がきたことから、thatは主格の関係代名詞だと判断します。
よって、predate the phonographで「蓄音機の前にくる」という意味になります。
今回はpredateと三単現のsがついていないため、先行詞は great speechesであるとわかります。
(the textが先行詞であればpredatesとなるはずです。)
さらに続いて、likeという語句がでてきます。
likeは「好き」という意味の動詞以外に、「~のような」という意味の前置詞としての働きもあります。
今回の文では、can readが動詞であるのでlikeは前置詞であると考え読み進めます。
likeの後ろに Abraham Lincholn’s Getysburg adress(Abraham Lincholnのゲティスバークの演説)という一かたまりの名詞がくることから、likeは前置詞で正しかったと判断します。
- <正解>
それ以前は、誰かが話すのを聞くことはもっぱら生の経験でした.
音が話す人の口から出てくる時に、耳を傾けていなければならなかった。蓄音機が発明されるより前の、エイブラハム・リンカーンのゲティスバークの演説のような偉大な演説の文章を読むことができる。
今回は前回の2019年大阪大学の入試問題の続きを扱いました。
関係代名詞はよく出てくるので、しっかりと見つけられるようにしましょう。
英文解釈を独学で勉強したい人は次の本がおすすめです。
「英文法はある程度理解したし英単語覚えた」
けど英文を読むことが出来ないという人は一度手に取ってみてください。