私は学生、社会人に限らず、「文章を理解できていない」のではないかと感じることがあります。
そんな中、こんな記事がネットででていました。
PISA調査 日本の読解力低迷 、読書習慣の減少も影響か
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191203-00000565-san-soci
この記事には、「日本の読解力の順位は、前々回の2012年調査では過去最高の4位だったが、前回の15年は8位、今回は15位と急落した。」と書かれています。
私はこれからの時代は、文章を理解できない人は仕事を失うと考えています。
文章を理解できなくてもできるような仕事はAIがするようになるからです。
前回、文章を理解できないとはどういうことかについて書きました。文章を理解できない子どもたちは、AIに負け仕事を失う <前編>
今回は、どうして文章を理解できないと仕事を失うかについて書いていきたいと思います。
これからなくなるのはどんな職業か
A:やり方を知っていて、早く仕事ができる人
B:効率のいいやり方を見つけることができる人
今後必要とされるのはどちらの人でしょうか?
今まではAの人材が必要とされてきました。
しかし、やり方を知っていればできる仕事は今後減っていきます。
正確に言うと、仕事自体は減りませんが、人間がすることではなくなります。
人間の代わりにそういった仕事をするのがAIです。
人間が、正確性、迅速性においてAIに勝つことは難しいです。
オックスフォード大学のカールフレイ氏らが、10年後の職業に関する論文を2013年に発表しました。
その中に、10年後になくなっている可能性が高い職業に「融資担当者」「税務申告代行者」「レストランの案内係」などが入っています。
こういった仕事では、やらなければいけないことを正確にそして早くすることが求められる仕事です。
こういった仕事は、AIにいち早くとって変わられてしまう可能性が高いです。
詳しくは、THE FUTURE OF EMPLOYMENT:HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?
一方、AIが発達することで人間の仕事がなくなるということに関して楽観的な考えもあります。
それは、新しい仕事が生まれるという考え方です。
実際、現在でも10年前にはなかった仕事が存在します。
そしてこれからも新しい仕事は増えていくと思います。
では、どういった仕事が増えるのでしょうか。
それはAIにはできなくて人間にしかできない仕事だと思います。
では、AIにできない仕事とはどういったものなのでしょうか?
どういった仕事が残り、どういった仕事が新しく出てくるのでしょうか?
AIが得意なこと
AIが行っているのは状況判断です。
過去の統計からこの状況で何をするのが最善かを考えるのはAIが得意とするところです。
しかし、それがどうして最善なのかはAIに答えることはできません。
2017年に将棋で人間がコンピュータに負けたということがニュースになったのを覚えていますか。
現役名人がコンピューターに負けた。将棋電王戦が、人間同士と違う部分
人間が将棋でコンピュータに負けたことで、コンピュータは人間を超えたのでしょうか?
私は超えていないと思っています。
そもそも、コンピュータと人間では将棋への取り組み方が違います。
棋士の羽生善治さんは数手先まで予想できるというのを聞いたことがあります。
人間は、今までの流れやこれからの流れなど一連の動作を流れとして認識しています。
一方、コンピューターは流れとして考えているのではなくその場その場で最善の方法を考えているのです。
将棋であれば、一手進めばその盤を写真のように写し、その写真をみて最善の手をうつ、そしてまた一歩進めばその盤の構成から次の一手を考えます。
その都度その都度状況を判断しているのです。
では、AIが苦手なことはなんでしょうか?
AIが苦手なこと
AIが苦手なことをお話する前に次の問題を解いてみてください。
- 次の日本語をを英訳しなさい
(1)私は昨日、山本と東京へ行った。
(2)私は昨日、山形と東京へ行った。
ちなみにこれは英語の知識を聞きたくて書いたのではないです。
(1)と(2)で誰がどこに何人で行ったのかわかりますか?
(1)の答えは、
Yesterday, I went to Tokyo with Yamamoto
では、(2)はどうなりますか?
自然とかける人と、書けない人がいると思います。
そう、これは二通りの取り方ができます。
行ったのは、(a)山形と東京なのか、(b)東京だけなのか。
(a)Yesterday, I went to Yamagata and Tokyo.
(b)Yesterday, I went to Tokyo with Yamagata.
ちなみにグーグル翻訳にかけてみました。
(1)は、Yesterday, I went to Yamamoto and Tokyo.
(2)は、Yesterday, I went to Yamagata and Tokyo.
確かにこの問題は前後を読まないと確実に答えることはできません。
文章から理解しないと「山本」「山形」が人なのか地名なのかがわからないからです。
しかし、あなたがいまやろうとしていることをAIはできません。
AIは、文章を理解することはできません。
ただ、これから開発が進んでいけばこれくらいなら解けるようになります。
皆さんがこのブログを読んでいる時にはすでに改善されている可能性もあります。
その場合でもAIが行うことは、山本という単語が何回出てきたか、その単語が出てきたときの動詞はなんなのか、など計算することです。
文章を理解して何かを行うということは、AIが苦手とするところです。
文章を理解できない子どもはどうして仕事を失うのか
AIが世の中の多くの仕事を人間の代わりに行う時代が来ることは避けられません。
しかし、AIがすべての仕事を行うわけではありません。
AIにできることはAIに、人間にしかできないことは人間にといったようにAIと人間のすみわけが行われます。
AIは万能な機械なのではなく優秀な計算機です。
得意な範囲、得意でない範囲があるということです。
あらゆる課題をあらゆら条件を加味して判断するのは困難です。
やり方がわかっていればできる仕事、同じ事を繰り返す仕事、あたえられた課題を条件付きで解決する仕事、そういったものはAIのほうが得意です。
一方、「新しいやり方を考える」「今取り組まなければいけない課題を考える」「今取り組んでいる課題が正しいのかを考える」などのことはAIが苦手なところです。
これを私は課題発見力と呼んでいます。
私は、これからの時代に必要になってくるのは課題発見力だと考えています。
課題発見力については、学生(子供達)に身に付けてほしい課題発見力を読んでみてください。
この課題発見力を身につけるのに必要なのが「論理性」です。
論理性は、文章を理解することから身につけることができます。
文章を理解することができなければ、論理的に考えることが難しくなります。
論理的に考えることが出来なければ、課題を発見することが難しくなります。
こういったことから、私は「文章を理解できない子どもは今後仕事を失う」可能性が高いと考えています。
二回にわたって、「文章を理解できない子どもたちは、AIに負け仕事を失う」ということについて書いてきました。
AIに仕事を奪われないために、AIを利用するためには、まず文章を理解するところから初めて見るのはどうでしょうか?
また、別の機会でこれからの時代を生き抜くために必要な「課題発見力」をどう身につけるかについて書いていきたいと思います。