私は学生、社会人に限らず、「文章を理解できていない」のではないかと感じることがあります。
そんな中、こんな記事がネットででていました。
PISA調査 日本の読解力低迷 、読書習慣の減少も影響か
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191203-00000565-san-soci
この記事には、「日本の読解力の順位は、前々回の2012年調査では過去最高の4位だったが、前回の15年は8位、今回は15位と急落した。」と書かれています。
私はこれからの時代は、文章を理解できない人は仕事を失うと考えています。
文章を理解できなくてもできるような仕事はAIがするようになるからです。
あなたは「AI vs 教科書を読めないこどもたち」という本をご存知でしょうか?
この本の著書は、東京大学の受験に挑戦するロボット「東ロボくん」のプロジェクトを始められた新井紀子さんです。
世間の考えるAIと実際のAIとの違いなど、大変面白い内容でした。
その中にかかれていたのが次の問題です。
解けるかチャレンジしてみたください。
次の(1)~(3)で確実に正しいといえるものには○、そうでないものには×を入れなさい。
公園に子どもたちが集まっています。男の子も女の子もいます。帽子をかぶっていない子供は、みんな女の子です。そして、スニーカーを履いている男の子はいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている
(2)帽子をかぶっている女の子はいない
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子供は、一人もいない
今回はこの問題に触れながら「文章を理解できない子ども」について書きたいと思います。
そして、これからの時代を生き抜くために必要な「課題発見力」をどう身につけるかについて書いていきたいと思います。
やり方がわからないから問題が解けないのか?
あなたは次の問題が解けますか?
- (1) 5時間で100km進みました。速さはどれくらいですか。
(2) 5時間時速20kmで進みました。何m進みましたか。
これは小学5年生で学ぶ速さについての問題です。
解けそうですか?
この問題を解けなくても、何を聞かれているか理解できますか?
(1)と(2)の求め方が異なることは理解できますか?
<解説>
(1) 速さとは単位時間(1秒、1分、1時間など)で進む距離の事です。
5時間で100km進むので、1時間では100km÷5=20kmとなるので、時速20 kmが正解となります。
(2) 時速20 kmは、1時間で20km進むという事なので、5時間で20×5=100となるので、100kmが正解となります。
どうでしたか?
小学生にこの問題をだすと、(1)を100×5=500で、500kmと答えたり、(2)を20÷5=4で、4kmと答えたりします。
どうしてでしょうか?
子どもたちはこの問題を、問題文を読まずに(理解せずに)、書いてある数字を「足す、引く、かける、割る」かして数値を出しているのです。
そしてそれを間違えているよというと、かけて間違えた「から」、次は割ってみたりもします。
そして、「どうしてかけたの(割った)?」と聞くと、「(1)ではかけた(わった)から」と答えたりします。
これは理由になっていません。
確かに速さの考え方がわからないと解くのは難しいと思います。
しかし、速さの考え方はわかっていても問題の書き方によってわからないのです。
その証拠として、「この数字は距離で、この数字は時間、求めるのは速さだよね」と説明すると計算して出します。
解き方がわかっていなければ、それだけでは解けないはずです。
子どもたちは問題が解けない時「やり方を教えてもらってないからできない」と説明します。
本当にこれはやり方をしらないからなのでしょうか?
問題が解けないのではなく文章を理解できていない
速さの問題であれば数学が好きか嫌いかも影響しているかもしれません。
しかし冒頭の「AI VS 教科書を読めない子供たち」から引用した問題はどうでしょうか?
次の(1)~(3)で確実に正しいといえるものには○、そうでないものには×を入れなさい。
公園に子どもたちが集まっています。男の子も女の子もいます。帽子をかぶっていない子供は、みんな女の子です。そして、スニーカーを履いている男の子はいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている
(2)帽子をかぶっている女の子はいない
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子供は、一人もいない
この問題絵を描いたりしてもいいので、もう一度考えてみてください。
算数の問題が解けた人でも、この問題に苦しむ人はいると思います。
この問題は、先ほどの算数の問題とはちがい解き方を知らない、やり方を知らないから解けないという問題ではありません。
文章を理解しているかどうかです。
今回の答は、(1)○(2)×(3)× です。
解けましたか?
<解説>
(1) 帽子をかぶっていない子供はみんな女の子なので、帽子をかぶっていれば男の子です。
(2) 帽子をかぶっていない子供はみんな女の子ですが、女の子はみんな帽子をかぶっているとは書いてありません。
つまり、いま公園にいるのは、「帽子をかぶっている女の子」「帽子をかぶっていない女の子」「帽子をかぶっている男の子」です。
(3) スニーカーを履いている男の子はいないので、男の子はみんなスニーカーを履いていません。
つまり、「スニーカーを履いている女の子」「スニーカーをはいていない女の子」「スニーカーを履いていない男の子」が公園にはいます。
ですので、帽子を被っていてスニーカーを履いている女の子がいる可能性を否定できません。
本によると、問題の対象者のほとんどが大学入試を終えたばかりの新入生のようです。そして、全体の正答率65.4%だったようです。
この正答率をどう感じるかは人によって異なると思いますが、私は低いなと感じました。
しかし、いまの学生たちを見ているとそうなるだろうと思いました。
問題文を理解できていないから問題を解けないことはよくあります。
算数ではなくても、物理、英語、化学など教科に関係なくよくあります。
その子たちの多くが、問題文の説明をすると問題を解けます。
これは解き方がわかっていないのではなく、問題文を理解できていないからです。
その時「文章を理解できなかっただけで問題を解けないわけではない」と考える人もいます。
しかし、「文章を理解できていない」というのは「だけ」で済ましていいものなのでしょうか?
今回は、「文章を理解できない子どもたちは、AIに負け仕事を失う <前編>」として、文章を理解できないとはどういうことかについて書いてみました。
次回は、文章を理解できない子どもたちは、AIに負け仕事を失う <後編>として、どうして文章を理解できないと仕事を失うかについて書いていきたいと思います。