『旅人算』の標準問題 その1
中学受験を乗り越えるうえで避けられないのが算数です。
算数を苦手とする小学生は多いです。
そんな親御さんも含め小学生でも理解できるように、問題の解き方を基本から解説しています。
前回までに、旅人算を解くうえで必要な基本的な考え方について書きました。
今回は、基本的な考え方を使って標準的な問題を考えていきたいと思います。
向かい合って歩いた時出会うのにかかる時間は?
<標準問題2>
弟は家を出発し分速80 mで駅に向かいました。兄は弟が出発して5分後に家から駅まで分速120 mで弟を追いかけました。兄が弟に追いつくのは、兄が出発してから何分後ですか。
今回は、この問題を考えてみましょう。
<考え方1> 追いつくとはどうゆうこと?
追いつくとはどういうことでしょうか。
次の図を見てください。
初め2人は300 m離れているとします。そこからお互い歩き始めます。
では2人が少し歩くとどうなるでしょうか?
兄が500 m歩き、弟が400 m進んだとします。
弟は兄から300 m離れていたので、兄のスタート地点から700 m離れた所にいます。
この図からも、2人は700 m – 500 m = 200 m離れていることになります。
では出会った時はどうなるでしょうか?
出会ったとき、2人の離れている距離が0 mになります。
ここで、兄が歩いた距離は赤色のの矢印、弟が歩いた距離が青色の矢印になります。
この図から、2人が歩いた距離の差(黄色矢印)が初めに離れていた距離になれば追いつくことができるということがわかります。
- 追いつく:「二人が歩いた距離の差」=「初めに離れた距離」
<考え方3> 兄が出発した時点で離れている距離は?
兄は弟が出発してから5分後に出発しています。
では、5 分後にどうなっているでしょうか。
この図からも、兄が出発する時点で弟は80 m × 5 分 = 400 m離れていることがわかります。
では、1分で2人の歩く距離の差はどれくらいになるのでしょうか?
<考え方3> 2人が1分で歩く距離の差は?
分速とは、1分間で進む距離の事です。
今回は、弟は1分間で80 m進み、兄は1分間で120 m進みます。
では、1分後に2人が進む距離の差はどうなるでしょうか?
<1分後>
図から、1分後には兄と弟の歩く距離の差は、120 m – 80 m = 40 m ということがわかります。
つまり、今回2人の歩く距離の差は1分毎にで40 m大きくなることになります。
<考え方3>2人が出会うまでの時間は?
ここまでで、「追いつくということは、2人が歩く距離の差が初め離れていた距離になること」「兄が出発した時点で2人は400m離れている」「2人の歩く距離の差は1分毎に40 m大きくなる」ということがわかりました。
つまり、今回の問題は以下のような問題と同じです。
<標準問題2> 兄と弟が歩く距離の差は1分毎に40 m大きくなります。2人の歩く距離の差が400 mになるのは何分ですか?
ここまでくると<標準問題2>は<基礎問題1>と同じ考え方で解けるということがわかります。
<解き方>
出会うまでにかかる時間を□分とします。
1分で40 m近づくので□分で、40 × □ m近づくことになります。
これが400 mになるので、
40 × □ = 400 m ⇔ □ = 400 ÷ 40 = 10
よって、答えは 10 分 ということになります。
続いて、池の周りを歩く問題を解いてみましょう。
池の周りを同じ向きに歩いて追いつくまでの時間は?
続いて、次の問題について考えてみましょう。
<標準問題3>
1周2000 mの池の周りを、Aさんは自転車で分速700 mの速さで走り、B君は分速200 mの速さで同じ方向へ走ります。AさんがBさんに追いつくのは何分後ですか。
<考え方1>追いつくってどうゆうこと??
池の周りを同じ向きに歩いて追いつくとはどうゆうことか考えてみましょう。
今回はいきなり追いついた時ときの図を書いてみましょう。
円では分かりにくいのでスタート地点で切って直線にしてみましょう。
このように直線に書き換えてみれば、【中学受験:基本】算数で困っている小学生に向けた旅人算の考え方の<基礎問題1>と同じ図になりました。
つまり、追いつくというのは2人の進んだ距離の差を考えれば良いということがわかります。
では、追いついた時2人の進む距離の差はどれだけになるでしょうか?
もう一度円を見てください。
すると2人の距離の差は、円1周分と同じことがわかります。
このことから、「追いつく」ということは「2人の進んだ距離の差が池の1周分の長さになる」事だということがわかります。
- 追いつく:「2人の進んだ距離の差」=「池の1周分の長さになる」
<考え方2> 2人が1分で離れる距離は?
ここまでと同じように、2人が1分で離れる距離を考えます。
分速とは1分で進む距離のことですので、Aさんは1分で700 m、Bさんは1分で200 m進みます。
ですので、AさんとBさんの距離は1分で500 m離れることになります。
追いつくまでの時間は??
先ほどのことから、「追いつく」ということは「2人の進んだ距離の差が池の1周分の長さになる」ということがわかりました。
そして、「2人は1分で500 m離れる」ことがわかり、今回の池1周分の距離は2000 mです。
このことから、<標準問題3>の問題は以下の問題と同じということになります。
<標準問題3>
AさんとBさんは1分間で500 m 離れます。2人の歩く距離の差が2000 mになるのにかかる時間は何分ですか?
では解いてみましょう。
<解き方>
出会うまでにかかる時間を□分とします。
1分で500 m 離れるので、□分で500 × □ m 離れることになります。
これが2000 mになるので、
500 × □ = 2000 m ⇔ □ = 2000 ÷ 500 = 4
よって、答えは 4 分 ということになります。
池の周りを回る問題は、一見新しい問題の様に感じます。
しかし、直線に変えてしまえば<基礎問題1>と同じ考え方で解けるということがわかります。
今回は旅人算でよく出る「追いつく」という問題について書きました。
一見難しいように感じる問題でも、最終的には<基礎問題1>と同じ考え方で解くことが出来ます。
文章を読み理解し、どういった問題であるかを考える癖をつけて欲しいと思います。
次回以降も、旅人算の標準~応用問題についても書いていきたいと思いますが、まずはしっかり<基礎問題1> ~ <基礎問題3>を理解するようにしてください。