教育

【中学受験:算数基本】旅人算:同じ向きと逆向きに歩く違い

『旅人算』の基本的な考え方

中学受験を乗り越えるうえで避けられないのが算数です。
大学受験や高校受験に比べて中学受験は親御さんの支えがとても重要になります。

しかし、子どもがわからないと言っているけど教え方がわからなかったりするともどかしい思いをしませんか。

そんな親御さんも含め小学生でも理解できるように、問題の解き方を基本から解説しています。

少しでも中学受験を家族で乗り切ろうとしている人の役に立てればと思っています。

今回は小学生が理解できにくい「旅人算」について書いてみたいと思います。

私は子ども達に教える際に、テクニックや解き方を教えることを最優先にしていません。
まずは、どうしてそうなるのかを考えてもらうようにしています。

ですので、この記事には「○○秒で解けるようになる」といったような解き方は説明していません。

テクニックを覚えただけでは、問題が変わると解けないということが起こりやすいです。

ですので、基本から理解して欲しいと思っています。

同じ方向に歩いて離れるのにかかる時間は?

  • <基本問題1>
    兄は分速96m、弟は毎分72 mの速さで、家から同じ方向に歩きます。同時に出発して、2856 m離れるのは何分後ですか。

まずは、この問題を考えてみましょう。

<考え方1>分速とは?1分でどれだけ離れるの?

分速とは、1分間で進む距離の事です。
つまり、兄は1分間で96 m進み、弟は1分間で72 m進みます。

では、1分後に2人はどれだけ離れるでしょうか?
<1分後>

図から、1分後には兄と弟で、96 m-72 m = 24 m 離れることがわかります。

<考え方2> 2分後、20分後には何 m 離れる?

先ほどと同じように2分後を図で考えてみましょう。

<2分後>

図のように、兄は 96 m × 2分 = 192 m 進み、弟は、72 m × 2 分 = 144 m進みます。
ですので、2人は、192 m – 144 m = 48 m離れることになります。

では20分後はどうなるでしょうか。

<20分後>

兄は1920 m、弟は1440 m進むので、1920 m – 1440 m = 480 m離れることになります。

<考え方3> 1分後、2分後、20分後にどんな関係があるか?

ここまでで、1分で24 m、2分で48 m、20分で 480 m 離れることがわかりました。
このことからわかることは、24にそれぞれの時間を掛けた値になっています。
では、この24という数字はどこから出てくるのか、それは2人の速度差です。

先ほども書きましたが、分速とは1分で進む距離です。
ですので、速度の差は1分で2人が離れる距離になります。
このことから、今回は96 – 72 = 24 m (2人の速度差)だけ1分で離れることになります。

<考え方4> 2856 m離れるのにかかる時間は?

では、今回の問題にある2856 m 離れるのにかかる時間はどれくらいでしょうか?

<考え方3>から、1分間で24 m離れることがわかりました。
では、求める時間を□分だとすると

 24 × □ = 2856 ⇔ □ = 2856 ÷ 24 ⇔ □ = 119

よって、119分後ということになります。

同じ方向に歩いて離れるのにかかる時間は?

  • <基本問題2>
    兄は分速90m、弟は毎分75 mの速さで、家から反対方向に歩きます。同時に出発して、2310 m離れるのは何分後ですか。

続いて、この問題を考えてみましょう。
<考え方1> ~ <考え方3>は、基本問題1と同じような説明になります。

<考え方1>分速とは?1分でどれだけ離れるの?

先ほどと同じように考えていきます。
分速とは、1分間で進む距離の事です。
今回は、兄は1分間で90 m進み、弟は1分間で75 m進みます。

では、1分後に2人はどれだけ離れるでしょうか?
<1分後>

図から、1分後には兄と弟で、90 m+75 m = 165 m 離れることがわかります。

<考え方2> 2分後、20分後には何 m 離れる?

先ほどと同じように2分後を図で考えてみましょう。

<2分後>

図のように、兄は 90 m × 2分 = 180 m 進み、弟は、75 m × 2 分 = 150 m進みます。
ですので、2人は、180 m + 150 m = 330 m離れることになります。

では20分後はどうなるでしょうか。

<20分後>

兄は1800 m、弟は1500 m進むので、1800 m + 1500 m = 3300 m離れることになります。

<考え方3> 1分後、2分後、20分後にどんな関係があるか?

ここまでで、1分で165 m、2分で330 m、20分で 3300 m 離れることがわかりました。
このことからわかることは、165にそれぞれの時間を掛けた値になっています。
では、この165という数字はどこから出てくるのか、それは2人の速度和です。

分速とは1分で進む距離ですので、今回は速度の和が1分で2人が離れる距離になります。
このことから、今回は90 – 75 = 165 m (2人の速度の和)だけ1分で離れることになります。

<考え方4> 2310 m離れるのにかかる時間は?

では、今回の問題にある2310 m 離れるのにかかる時間はどれくらいでしょうか?

<考え方3>から、1分間で165 m離れることがわかりました。
では、求める時間を□分だとすると

 165 × □ = 2310 ⇔ □ = 2310 ÷ 165 ⇔ □ = 14

よって、14分後ということになります。

塾ではどう教えるか

塾では、次のように教えられると思います。

  • 「同じ方向で進むときは速度の差を求めて、距離を速度差で割る」
  • 「反対方向で進むときは速度の和を求めて、距離を速度の和で割る」

どうして速度の差(または速度の和)を求める必要があるのか、そこまで考えて問題を解けるようになってほしいと私は思います。


今回は、中学受験でよく出てくる「旅人算」の基本について書きました。
次回は、この基本を用いて受験問題をどうやって解くかを書いていきたいと思います。

ABOUT ME
GoodAmbition
オンライン塾経営者(大阪大学工学部出身の元開発技術者) 自身も家庭教師や塾講師として働きつつ、後輩の育成やオンライン塾を経営しています。 私自身も約10年にわたり家庭教師や塾講師として100人以上の受験生と向き合ってきました。 色々な学生、保護者の方とかかわる中でよく質問される内容や、受験に必要な内容について書いています。 独学で頑張っている人たちへ勉強計画や悩み相談なども受け付けていますので気軽にお問い合わせください。 就職活動や資格の勉強などで悩んでいる方もご連絡ください。 教育・就活、書籍、食べ歩きに関するお話がメインです。 最近取り組んでいること プログラミング、筋トレ、マラソン、ライティングスキル向上etc. 苦手なことを克服しようと頑張っています。