日々是英文解釈 No.6
大学入試問題やTOEIC等で出てくる英文をほぼ毎日1文ずつ解説していきます。
英語の学習において、「文法はある程度理解しているけど英文が読めない」ということはよくあります。
英文を読むためには、英文を読むための英文法の使い方を学ぶ必要があります。
また小学校や中学校では、英文を後ろから返って読むように教わったりします。
しかし、それでは時間がかかってしまいます。
基本的に、英文は前から一度読んで内容を理解できることが大事です。
前から読んで理解できるように、よくでてくる英文を毎日一文ずつ解説していきます。
是非毎日覗いてみてください。
- 次の英文を訳しなさい。
Before then, hearing someone talk was exclusively a live experience: you had to be listening as the sounds emerged from the speaker’s mouth.
この問題は、2019年の大阪大学の入試問題の一部です。
as の見極め
今回の問題を解くポイントは、asです。
as は、前置詞・副詞・接続詞・関係代名詞として働きます。
前置詞のas:~として、~だと、~のように
前置詞であれば、後ろに名詞を持ちます。
<例文1>
(1) He worked as our leader.
(彼は、私たちのリーダーとして働いていた。)
(2) He regards her as our leader.
(彼は彼女を私たちのリーダーだと思っています。)
(3) You should work hard such as our leader.
(あなたは、私たちのリーダーのように一生懸命働くべきです。)
<例文1>ではどの文も、asの後ろにour leaderという名詞が来ています。
このことから、<例文1>のasは前置詞であることがわかります。
そして、前置詞のasは「~として」「~だと」「~のように」という意味になります。
「~のように」という意味になるときは(3)のようにsuch asの形をしていることが多いです。
副詞のas:同じくらい
副詞のasは原形比較の文でよく用いられます。
<例文2>
Tom is as tall as Mike.
(TomはMikeと同じくらの背の高さです。)
as + 形容詞/副詞の原級 + asの一つ目のas は「同じくらい」という意味の副詞です。
2つ目のasは接続詞ですので、後ほど説明します。
接続詞のas
接続詞であれば、後ろに完全文(主語+動詞)がきます。
大きく分けて接続詞のasは次の6つの意味になります。
1 理由:~なので
<例文2>
As I was tired, I went to bed early yesterday.
(私は疲れていたので、昨日ははやく寝ました。)
<例文2>では、早く寝た理由が疲れていたということだとわかります。
このように、asは理由を表すことがあります。
2 時:~のとき
<例文3>
As I got there, he had already left.
(私が着いた時には、もうすでに彼は出発していた。)
<例文3>は、「彼がもうすでに出発していた理由が私がそこについた」ではおかしいことがわかります。
私が着いた時にはすでに出発していたという意味になるので、時を表すasであると判断します。
3 様態:~のように
<例文4>
You must do as he told you (to do).
(彼が言ったようにあなたはしなければいけません。)
asは「~のように」という意味もあることを覚えておいてください。
様態のasの際は、<例文4>のように省略が起こることが多いですので注意してください。
4 比例:~につれて
<例文5>
As he grew up, he became quiet.
(彼は成長するにつれて、おとなしくなった。)
<例文5>では、接続詞のasが「~につれて」という意味で使われています。
この意味で使われるときは、今回の様にasの後ろに変化などの動作を表す内容が来ることが多いです。
5 譲歩:~だが
<例文6>
Child as she was, she was brave.
(彼女は子供だったが、勇敢だった。)
譲歩を表すasでは、本来asの後ろにある語句が前に出てきます。
このように倒置が起こっているときは譲歩だと考えるようにしましょう。
6 比較:~と比べて
副詞のas を説明した際に、<例文2>の2つ目のasは接続詞と言いました。
このas + 形容詞/副詞の原級 + asの二つ目に用いられているのが比較のasです。
<例文2>
Tom is as tall as Mike.
(TomはMikeと同じくらの背の高さです。)
比較のasは「~と比べて」という意味になります。
関係代名詞のas
asは関係代名詞の働きもあります。
このとき、asの後ろは不完全文になります。
<例文7>
Young men are impatient, as you know.
= As you know, young men are impatient.
= Young men, as you know, are impatient.
(あなたも知っているように、若者は気が短い)
関係代名詞のasは先行詞に句や節を持ちます。
<例文7>では、asの先行詞は young men are impatientという文です。
関係代名詞のasは、先行詞の後ろだけでなく文頭・文中・文末のどこにでもおくことができます。
今回の問題の訳し方と解答
今回の問題の前半については、前回(日々是英文解釈 No.5)書きました。
今回は、you以降について書いてきたいと思います。
英文を読む上では以下の二つがまず大切です。
- 最初に出てきた名詞を主語として考える
- 前置詞のついた名詞は主語になれない
まずは主語を探すことを意識して読み進めます。
今回の文では、youという主格の代名詞が来ているのでこれを主語だと判断します。
続いて、have toの過去形であるhad toがきます。
have toは後ろの動詞の原形をおき「~しなければならない」という意味になります。
had toの後ろに動詞の原形であるbeが来ることから、この1つのかたまりを動詞と判断します。
さらに読み進めると、be 動詞の後ろに~ingが来ます。
この段階で可能性があるのは、「進行形」「動名詞」「分詞」のどれかです。
進行形であれば、「あなたは耳を傾けつづけているといころでなければならなかった」という意味になります。
動名詞であれば、「あなたは耳を傾けることでなければならなかった」という意味になります。
分詞であれば、「あなたは耳を傾け続けなければならなかった」という意味になります。
今回は意味から考えて「分詞」であると判断します。
続いて、asが来ます。
このasは色々な働きをしますので、ひとまず接続詞として読み進めます。
as の後ろには the soundsという名詞が来ます。
そして、その後ろにはemergedという自動詞emerge(出てくる)の過去形が来ます。
ここまで読んでthe soundsが主語でemergedが動詞である完全文だと判断できますので、先ほどのasは接続詞であったということがわかります。
更に読み進めると、fromという前置詞があり、その後ろにthe がきます。
前置詞とthe の後ろには名詞が必要ですので、次の名詞までが1つのかたまりとして前置詞の目的語だとわかります。
そして、theの後ろに所有格のspeaker’sがきて、さらに mouthという名詞が来ることから、the speaker’s mouth(話す人の口)で1つのかたまりだとわかります。
このことから、asの後ろは「音が話す人の口から出てきた」という訳になります。
そして最後に接続詞asの訳し方を考えます。
今回は、比較級や倒置が起こっていないことから「理由」「時」「様態」「比例」の可能性が考えられます。
理由であれば「耳を傾ける理由が音が出てくる」ことになり、時であれば「耳を傾けるのは、音が出てくるときである」ことなります。
様態であれば「音が出てくるように耳を傾け」、比例であれば「音が出てくるにつれて耳を傾ける」ことになります。
今回は「音が出てくるときに、耳を傾けなければならなかった」という意味になると考え、時を表すasだと判断します。
- <正解>
それ以前は、誰かが話すのを聞くことはもっぱら生の経験でした.
音が話す人の口から出てくる時に、耳を傾けていなければならなかった。
今回は前回の2019年大阪大学の入試問題の続きを扱いました。
asの見極めはよく出てくるので、その都度意味を考えるようにしましょう。
英文解釈を独学で勉強したい人は次の本がおすすめです。
「英文法はある程度理解したし英単語覚えた」
けど英文を読むことが出来ないという人は一度手に取ってみてください。