『過不足算』の基本的な考え方 その1
中学受験を乗り越えるうえで避けられないのが算数です。
算数を苦手とする小学生は多いです。
そんな親御さんも含め小学生でも理解できるように、問題の解き方を基本から解説しています。
今まで複数回に分けて、「旅人算」「食塩水の問題」「仕事算」の基本的な考え方について書いてきました。
今回は、「過不足算」の基本的な考え方について書いていきたいと思います。
過不足の基本的な考え方
過不足算を解くうえで必要になる「過不足の基本的な考え方」について考えていきましょう。
<基礎問題1>
10人の生徒がいます。あめを1人に5個ずつ配るときと、3個ずつ配る時で必要なあめの数は何個減りますか。
<基礎問題1>
10人の生徒がいます。あめを1人に5個ずつ配るときと、3個ずつ配る時で必要なあめの数は何個減りますか。
<基礎問題2>
あめを何人かの子供に、1人7個ずつ配るときと、5個ずつ配るときで残るあめの個数が20個減りました。子供は何人いますか。
<基礎問題3>
あめを何人かの子供に分けると、1人5個ずつ配ると過不足なしに分けることができ、1人3個ずつ配ると30個余りました。子供は何人いますか。
<基礎問題4>
あめを何人かの子供にわけます。1人5個ずつ配ると10個足りなくなり、1人3個ずつ配ると過不足なしに分けることができました。子供は何人いますか。
<基礎問題5>
あめを何人かの子供にわけます。1人5個ずつ配ると30個余り、1人3個ずつ配ると10個余ります。子供は何人いますか。
では、<基礎問題1>から解いていきましょう。
配る量を変えることでどれだけの差が生まれるか。
過不足についてを考える前に、配る量を変えることでどれだけの差が生まれるかについて見ていきましょう。
この考え方が過不足算を解くうえでの1番の基本になります。
とても簡単な問題ですが、<基本問題1>について考えていきましょう。
<基礎問題1>
10人の生徒がいます。あめを1人に5個ずつ配るときと、3個ずつ配る時で必要なあめの数は何個減りますか。
10人にあめを5個ずつ配るには$ 5 \times 10 =50個$、3個ずつ配るには$3 \times 10 = 30 $個必要です。
つまり、$ 50 – 30 = 20個 $になります。
答えを出すだけであれば簡単な掛け算と引算で出すことができます。
ここで下の図を見て下さい。
この図のように、5個から3個にすることで1人2個ずつ配る量が減ると考えることが重要になります。
1人2個ずつ余るので、$2 \times 10 = 20個 $減るという考え方が過不足算の基本になります。
このとき、あめが30個あったとすれば5個ずつ配ると20個不足し、50個あったとすれば3個ずつ配ることで20個余るということになります。
過不足算を解くうえで大切な考えの一つ目が次になります。
では、この考え方をもとに<基礎問題2>を解いてみましょう。
減った量から人数を求める。
先ほどは、あめを配る人数が与えられていました。
次は、変化したあめの数から人数を求める問題になります。
<基礎問題2>
あめを何人かの子供に、1人7個ずつ配るときと、5個ずつ配るときで残るあめの個数が20個減りました。子供は何人いますか。
この問題では、7個ずつ配るときと5個ずつ配る時とで残ったあめの量から子どもの人数を求めます。
先ほどの、1人当たりの数が変化すれば、変化した数×人数分必要な数が変化する を基に考えていきます。
今回は「7個ずつ配ったときと5個ずつ配ったとき」と書かれているので、1人当たり2個ずつ必要なあめの量が減ります。
つまり、残るあめの個数はその分増えることになります。
子どもの数を□人とすると、必要なあめの量は$2\times□$減ります。つまり、残るあめの個数は$2\times□$増えます。
今回は、7個配った時と5個配ったときで残る前の個数が20個増えたので、$ 2\times□=20$となり、$□=20\div2=10人$ということになります。
ここまでの問題は「過不足算」の問題とは少し違った書き方でした。
<基本問題3>からは、「過不足算」の問題と同じように余った量と不足した量を扱っていきましょう。
では、<基礎問題3>について考えてみましょう。
余った量から人数を求める。
<基礎問題2>では、残ったあめの量から人数を求めました。
次の<基礎問題3>では、余った量から人数を求めます。
<基礎問題3>
あめを何人かの子供に分けると、1人5個ずつ配ると過不足なしに分けることができ、1人3個ずつ配ると30個余りました。子供は何人いますか。
5個ずつ配ると過不足なしに分けることができました。
過不足なしに分けることができたということは、ちょうどわけることができたということです。
一方、3個ずつ配ると30個余ったと書いてあります。
つまり、5個ずつ配った時と3個ずつ配った時とで配る量が30個減ったということになります。
ここで、5個配る時と3個配る時で1人当たりの数は2個減少することになります。
よって、子どもの人数を□人とすると$ 2 \times □ 個$減少するということになります。
今回は30個減ったとあるので、$ 2 \times □ = 30$となります。
このことから、子どもの人数は$ □ = 30 \div 2 = 15人$ ということになります。
図を用いて解いてみる。
<基礎問題3>を長方形の面積を用いて解くことができます。
次の図を見てください。
赤枠の面積が元々あったあめの量とします。
そして、縦に子どもの数である□人、横に配った個数を取ります。
長方形の面積は、$ 縦 \times 横 $で表せるので、横に5個をとった時の面積$5 \times □$が、5個配るのに必要なあめの個数になります。
今回は5個ずつ配った時に過不足なしに分けることができたので、5個ずつ配った時の面積と元々あったあめの量が同じになっています。
そして、3個ずつ配った時に必要なあめの量にあたるのが薄い青色の面積$3 \times □$になります。
そうすると、黄色の部分があまったあめの量になります。
黄色の部分の横の長さは、$ 5個 – 3個 = 2個$にあたります。
この横の長さは、5個から3個にしたときの1人当たりの変化量になります。
黄色の面積は$2 \times □$で表すことができ、今回は30個余ったので$ 2 \times □ = 30$となります。
よって、求める子どもの人数は$ □ = 30 \div 2 = 15人$ ということになります。
このように過不足算は面積図を用いて解くことができます。
しかし、どうして過不足算がこの図の様に解けるのかを理解してから図で解くようにしてください。
続いて、不足した量から人数を求めてみましょう。
不足した量から人数を求める。
<基礎問題4>
あめを何人かの子供にわけます。1人5個ずつ配ると10個足りなくなり、1人3個ずつ配ると過不足なしに分けることができました。子供は何人いますか。
<基本問題3>との違いは、少ない量で配った時は過不足なしに分けることができ、多い良で配った時に不足が出る点です。
3個ずつ配るとちょうどわけることができましたが、5個ずつ配ると10個不足しました。
つまり、10個必要な量が増えたということになります。
また、3個から5個に配る量を増やすことで1人当たり2個ずつ必要なあめが増えます。
よって子どもの数を□人とすると$ 2 \times □ = 10 $ということになり、$ □ = 10 \div 2 = 5人$ということになります。
図を用いて解いてみる。
<基礎問題4>を<基礎問題3>と同様に長方形の面積を用いて解くことができます。
次の図を見てください。
赤枠の面積が元々あったあめの量とします。
そして、縦に子どもの数である□人、横に配った個数を取ります。
長方形の面積は、$ 縦 \times 横 $で表せるので、横に3個をとった時の面積$3 \times □$が、3個配るのに必要なあめの個数になります。
今回は3個ずつ配った時に過不足なしに分けることができたので、3個ずつ配った時の面積と元々あったあめの量が同じになっています。
そして、5個ずつ配った時に必要なあめの量にあたるのが薄い青色と緑色の面積$5 \times □$になります。
そうすると、緑色の部分が不足したあめの量になります。
緑色の部分の横の長さは、$ 5個 – 3個 = 2個$にあたるので、面積は$2 \times □$で表すことができます。
今回は、10個不足したので$ 2 \times □ = 10$となり、求める子どもの人数は$ □ = 10 \div 2 = 5人$ ということになります。
<基本問題3>と<基本問題4>は、どちらかが余るもしくは不足した場合のみから人数を求めました。
では、片方が余り、もう片方が不足する問題について考えてみましょう。
余った量と不足した量から人数を求める。
<基本問題1>から<基本問題4>を基に<基本問題5>を解いてみましょう。
<基礎問題5>
あめを何人かの子供にわけます。1人5個ずつ配ると30個余り、1人3個ずつ配ると10個余ります。子供は何人いますか。
<基本問題3><基本問題4>とは違い、<基本問題5>では5個ずつ配った時は不足し、3個ずつ配った時は余ってしまいます。
しかし、考え方は今までと同じです。
<基本問題5>では、5個ずつ配った時と3個ずつ配ったときで必要なあめの量はどうなっているでしょうか。
5個ずつでは30個不足し、3個ずつでは10個余ります。
つまり、5個ずつと3個ずつで$ 30 + 10 = 40個$配る量が減っているということになります。
つまり<基礎問題5>は次の問題と同じということになります。
<基礎問題5>
あめを何人かの子どもに配ります。5個ずつ配ったときと、3個ずつ配ったときで40個配る量が減りました。子どもは何人いましたか。
ここまでくれば、<基礎問題2>と同じ考え方で解けるということがわかります。
5個ずつ配る時と3個ずつ配る時で1人当たり2個ずつ配る量は減ります。
そしてこの問題では40個配る量が減っています。
ですので、子どもの人数を□人とすると、$ 2 \times □ =40$となり、$□ = 40 \div 2 =20 人$ということになります。
図を用いて解いてみる。
<基礎問題5>も長方形の面積を用いて解くことができます。
次の図を見てください。
今までと同じように赤枠の面積が元々あったあめの量とします。
そして、縦に子どもの数である□人、横に配った個数を取ります。
長方形の面積は、$ 縦 \times 横 $で表せるので、横に3個をとった時の面積$3 \times □$が、3個配るのに必要なあめの個数になります。
3個配るのに必要なあめの個数にあたるのが薄い青色の面積になります。
そして、5個ずつ配った時に必要なあめの量にあたるのが赤色の枠と緑色を足した面積$5 \times □$になります。
そうすると、緑色の部分が不足したあめの量であり、黄色の部分があまったあめの量になります。
黄色と緑色の部分の横の長さは、$ 5個 – 3個 = 2個$にあたるので、面積は$2 \times □$で表すことができます。
今回は5個配った時に不足したのが30個、3個配った時に余ったのが10個なので、$ 2 \times □ = 30+10 = 40 $となり、求める子どもの人数は$ □ = 40 \div 2 = 20人$ ということになります。
今回は「過不足算」の問題を解くうえで必要な「1人当たりの量が変化すれば、変化した数×人数分必要な数が変化する について書きました。
長方形の面積を使った解き方も紹介しましたが、どうしてそうなるのかを理解したうえで使うようにしてください。
次回は、この2つの考え方を用いて問題を解いていきたいと思います。
「1人当たりの量が変化すれば、変化した数×人数分必要な数が変化する