英文法

完了形は何も完了していません!視点を考えれば理解できる!

学生
学生
現在完了形と過去形って何が違うの?
完了形なのに未来完了形って何なの?
先生
先生
完了形は何も完了してないんだ。
完了形はどこに立っているかが大事なんだ。
<この記事でわかること>

過去形と現在完了形の違い
完了形の構造(疑問文・否定文の作り方)
過去, 現在, 未来の完了形の違い
完了形の3つの用法

完了形

前回までに、英語を勉強する際に重要となること、文法の中で最も大事な文型について書きました。

英語は語順が大事!2つのことを意識することから始めよう。
英文法をある程度理解したら、「基本はここだ!」を読め!
英文法の中で一番大事なのは文型!!文型からやり直そう!

今回は、英文法の重要事項の1つ「完了形」について書いていきたいと思います。
完了形は英語を学ぶ人が理解しにくい文法事項の1つです。
勉強したてや勉強をし直している人はまずはすべてを理解せず最低限の範囲だけでも理解してください。
まだ英文法を勉強し始めた人たちが読んでほしい範囲を以下にまとめてあります。

<まず初めに読んでほしいところ>

2 現在・過去・未来の完了形の構造について
2-1 現在完了形:have(has) + 過去分詞
2-2 過去完了形:had + 過去分詞
2-3 未来完了形:will + have + 過去分詞
4 完了形の3つの用法
4-1 継続
4-2 完了・結果
4-3 経験

完了形は完了していない

文法を学びたての人はここは飛ばしてください。
完了形と聞くと、何かが完了したというイメージを持つと思います。
日本語でイメージされる完了というニュアンスと完了形は少し違います。

完了形は、「complete」ではなく「perfect」を用いて「perfect tense」と英語では表記されます。
perfectと聞くと「完璧な」という意味が思い出されると思いますが、それとも少し異なります。
現在完了という訳の元になった「the present perfect」を英英辞典で調べてみました。

the form of a verb that shows what happened during a period of time up to and including the present
「(現在を含む)現在までの期間に何が起こっていたかを示す動詞の形態」

※ ロングマン英英辞典より抜粋

この英文を日本語訳すると「(現在を含む)現在までの期間に何が起こっていたかを示す動詞の形態」となります。
一方過去形を同じように、英英辞典で調べてみました。

a form of a verb that shows that something happened or existed before the present time
「現在より前に起こったことまたは存在したことを示す動詞の形態」

※ ロングマン英英辞典より抜粋

こちらは、「現在より前に起こったことまたは存在したことを示す動詞の形態」という訳になります。

つまり、過去形は「こんなことが過去にあった」と起こった事実を示しているだけです。
一方、過去に起こったことが現在までにどう影響しているかを表しているのが現在完了形です。

次の例文を見てください。

<例文1> 過去形
I lost my key.
(私は鍵を失くしました。)

<例文2> 現在完了形
I have lost my key.

<例文1>は過去形で、鍵を失くしたという事実を述べているだけです。
今どういう状態なのか(鍵が見つかったかどうか)は重要視していません。
一方<例文2>は現在完了形で、鍵を失くして現在も鍵を失くしている状態だ(失くしたことが今も続いている)と言っています。

このように、完了形は何かが完了したことを表しているのではありません。

現在・過去・未来の完了形の構造について

完了形には、現在完了形、過去完了形、未来完了形の3つがあります。
これらについては、視点がどこに置かれているかで考えると理解しやすいと思います。
まず、現在完了形、過去完了形、未来完了形の構造と疑問文。否定文の作り方を見ていきましょう。
文法を学びたての人は日本語訳等は気にせず構造だけを覚えてください。

現在完了形:have(has) + 過去分詞

現在完了形は、「have(has) + 過去分詞」を用いて表現されます。
疑問文はhave(has)を先頭に出す、否定文はhave(has)の後ろにnotを入れることで作ります。

<例文3>
肯定文:She has lived there for three years.
(彼女はそこに3年間住んでいます。)
疑問文:Has she lived there for three years?
(彼女はそこに3年間住んでいますか。)
否定文:She hasn’t lived there for three years.
(彼女はそこに3年間住んでいません。)

過去完了形:had + 過去分詞

過去完了形は、「had + 過去分詞」を用いて表現されます。
疑問文はhadを先頭に出す、否定文はhadの後ろにnotを入れることで作ります。

<例文4>
肯定文:She had lived there for three years when I met her.
(私が彼女に会ったとき、彼女はそこに3年間住んでいた。)
疑問文:Had she lived there for three years when I met her?
(私が彼女に会ったとき、彼女はそこに3年間住んでいましたか。)
否定文:She had’t lived there for three years.
(私が彼女に会ったとき、彼女はそこに3年間住んでいませんでした。)

未来完了形:will + have + 過去分詞

未来完了形は、「will + have + 過去分詞」を用いて表現されます。
疑問文はwillを先頭に出す、否定文はwillの後ろにnotを入れることで作ります。

<例文5>
肯定文:She will have lived there for three years when I met her.
(私が彼女に会ったとき、彼女はそこに3年間住んでいた。)
疑問文:will she lived there for three years when I met her?
(私が彼女に会ったとき、彼女はそこに3年間住んでいましたか。)
否定文:She won’t lived there for three years.
(私が彼女に会ったとき、彼女はそこに3年間住んでいませんでした。)

現在・過去・未来の完了形の違いについて

現在・過去・未来の完了形の違いをみる前に、現在形と現在完了形の違いについて見てみましょう。

現在形と現在完了形の違い

次の図を見てください。

現在形は、現在の状態や習慣を表します。
一方、現在完了形は過去から現在までの状態や行為を表します。
現在形は、現在のある1点を見ていて、現在完了形は過去から現在までの繋がりを見ています。

次の例文を見てください。

<例文6>
現在形:She lives there.
現在完了形:She has lived there for three years.

現在形は、「今そこに住んでいる」という事実を述べているだけです。
一方現在完了形では、「現在ここに住んで3年になるよ」という過去から現在までの繋がりを表しています。

この現在においている視点を、過去・未来に移したものが過去完了・未来完了になります。

過去形と過去完了形の違い

過去形・過去完了形は、現在形・現在完了形の視点を過去に移した表現です。

<例文7>
過去形:She lived there when I was met her for the first time.
過去完了形:She had lived there for three years when I met her for the first time.

過去形は、「彼女に初めて会った時」ということを言っているだけで「4年前はどうなのか」などということを意識していません。
一方、過去完了形は「彼女に始めて会った時には、3年間そこに住んでいたよ」と「私があったときより以前から私が会った時まで」の繋がりを表しています。
つまり、現在完了形の現在という視点を、私が会った時という過去に移しているのが過去完了になります。

過去完了形では、文中もしくは文より前に過去を表す内容(今回であれば初めて会った時)が記載されています。

未来形と未来完了形の違い

現在形・過去完了形の視点を未来に移した表現が、未来形・未来完了形になります。

<例文7>
未来形:She will live there next May.
未来完了形:She will have lived there for three years next May.

未来形は、「次の5月にそこに住んでいるだろう」ということを言っているだけで「現在そこに住んでいるのかどうか」などということを意識していません。
一方、未来完了形は「次の5月には、3年間そこに住んでいることになるよ」と現在(更にはそれ以前)からの繋がりを表しています。
つまり、現在完了形の現在という視点を、来月という未来に移していたのが未来完了形になります。

ここまでを一旦まとめてみます。

現在完了形:過去から現在までの繋がりを意識
過去完了形:現在完了形の視点を過去に移したもの
未来完了形:現在完了形の視点を未来に移したもの

完了形の3つの用法

ここまで、完了形の構造と過去・現在・未来の完了形の違いについて話してきました。
ここからは、完了形の用法についてお話したいと思います。
完了形の用法は大きく分けて「継続」「完了・結果」「経験」の3つあります。
ではそれぞれ見ていきましょう。

継続

先ほどから例文に使っている完了形は「継続」の用法になります。
それぞれの訳は次のようになります。

現在完了形:「(ずっと)~している」
過去完了形:「(過去のある時点までずっと)~していた。」
未来完了形:「(未来のある時点までずっと)~していることになるだろう」

まず、<例文8>を見てください。

<例文8>
現在完了形:She has lived there for three years.
「彼女はそこに3年間住んでいます。」
過去完了形:She had lived there for three years when I met her.
「私が彼女に会った時、彼女はそこに3年間住んでいました。」
未来完了形:She will have lived there for three years next May.
「次の5月で、彼女はそこに3年住んでいることになるでしょう。」

それぞれを図に表してみましょう。

それぞれ、現在・過去(出会った時)・未来(次の5月)までの3年間住んでいるという意味になります。

完了・結果

続いて、完了・結果の用法になります。

現在完了形:「~してしまった。」
過去完了形:「(過去のある時点では)~してしまっていた。」
未来完了形:「(未来のある時点までに)~してしまっているだろう」

次の<例文9>をみてください。

<例文9>
現在完了形:She has left here.
「彼はもうここを出発してしまったよ(だからここにはいないよ)。」
過去完了形:She had already left there when I arrived.
「私が着いた時には、彼女はすでに出発してしまっていた。(だからそこにはいなかったんだよ)」
未来完了形:She will have left here by six o’clock.
「6時までには彼女はここを出発しているでしょう。(だから6時にはここにいないと思うよ)。」

それぞれ図にしてみると下のようになります。

現在完了形は、出発してしまった状態が現在も続いています。
それを、過去(私が着いた時)に視点を移したのが過去完了、未来(6時)に移したのが未来完了になります。

経験

最後に、次の<例文10>を使って経験の用法を見ていきましょう。

現在完了形:「(今までに)~したことがある。」
過去完了形:「(過去のある時点までに)~したことがあった。」
未来完了形:「(未来のある時点までに)~したことになるだろう」

<例文10>
現在完了形:She has been to Kyoto three times.
「彼女は3回京都に行ったことがある(いたことがある)。」
過去完了形:She had been to Kyoto three times before she was thirty.
「彼女は30際の時には、京都に3回行ったことがあった(いたことがあった)。」
未来完了形:She will have been to Kyoto three times if she goes there next week.
「彼女は来週京都に行けば3回行ったことになるでしょう(いたことになるでしょう)。」

上の図の様に、現在完了形では現在の時点で3回京都にいたことがあるという意味になります。
過去完了では30歳の時という過去の時点で3回京都にいたことがあった、未来完了では来週(未来)に行ったら3回京都に3回いたことになるということになります。

<参考>been to と gone toの違い

<例文10>で「いたことがある」という訳にしているのには理由があります。
完了形ではよくbeen toとgone toの違いについて問題が出ます。

<例文11>
(1) She has been to Kyoto three times.
(2) She has gone to Kyoto.

(1)は、She is Kyoto.の完了形だと考えます。
つまり京都にいるという状態が3回あったということになります。
(2)は、She goes to Kyoto.の完了形です。
go to Kyotoという状態が今にも続いている。つまり、京都に行ってしまって今もいないということになります。

gone to を経験として扱う地域もあるようですが、受験英語では「been toはいったことがある」「gone toは行ってしまった(ここにいない)」と覚えておいてください。

まとめ

ここまでの内容をまとめておきます。


完了形は英語を学んでいる人が理解しにくい文法事項の1つです。
いきなりすべてを理解することは難しいと思います。
ですので、まずは完了形の作り方と用法についてだけでも理解しましょう。
そして、もしわからないことが出てきたときにもう一度見直すようにしてください。

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オンライン塾経営者(大阪大学工学部出身の元開発技術者) 自身も家庭教師や塾講師として働きつつ、後輩の育成やオンライン塾を経営しています。 私自身も約10年にわたり家庭教師や塾講師として100人以上の受験生と向き合ってきました。 色々な学生、保護者の方とかかわる中でよく質問される内容や、受験に必要な内容について書いています。 独学で頑張っている人たちへ勉強計画や悩み相談なども受け付けていますので気軽にお問い合わせください。 就職活動や資格の勉強などで悩んでいる方もご連絡ください。 教育・就活、書籍、食べ歩きに関するお話がメインです。 最近取り組んでいること プログラミング、筋トレ、マラソン、ライティングスキル向上etc. 苦手なことを克服しようと頑張っています。